段ボール箱の機能について

段ボール箱の機能について

段ボール箱の機能とは、段ボール箱が果たす役割のことです。

 

段ボール箱には様々な機能があります。
段ボール箱の基本的機能は、

輸送

仕分

保管

という物流機能です。
また、段ボール箱の機能は物流以外でも多岐にわたります。

 

ここでは、一般的な段ボール箱に備わっている機能と、「機能性段ボール」と呼ばれるものについて触れていきます。

 

 

段ボール箱の物流機能

段ボール箱の物流機能

 

段ボール箱の物流機能とは 輸送 仕分け 保管 であり、

段ボール箱はそれらの機能を支える性能を有しています。
また、「荷役」「梱包・包装」「流通加工」という物流工程にも深く関わっています。

 

段ボール箱は物流の現場に必要不可欠な資材です。

 

輸送

 

輸送とは文字通り品物(商品)トラック・鉄道・船などで運ぶことです。

多くの商品はバラの状態で運搬することが困難です。

製造工場などでは商品を一定の単位にまとめて包装(集合包装)します。

基本的には販売単位にまとめられますが、商品が小さい場合は輸送に適したサイズの容器で梱包されます。

輸送には商品保護のため、包装(容器)が必要となり、その多くの場合は段ボール箱を用います。

 

段ボール箱は下記のような性能を有しています。

 

・商品に合わせた寸法・材質で作成できる。

 そのため、輸送時スペースに無駄が無く効率良い。また、指定寸法のため商品の固定性が高くなる。(商品同士の擦れが軽減される。)

・段ボール自体に厚みがあり緩衝性能がある。

 (輸送時の振動や衝撃から商品の破損を防ぐ。)

・大量の出荷に対応できる。

 ラップアラウンド形式など、缶ビール等の高速梱包ラインに対応できる。A式ケースでも製函機を用いれば短時間に大量の箱組みができる。

・プラスチックコンテナ等と比べ低コスト。

 ワンウェイの容器として大量に使うことができる。出荷先で処分できるため回収のコストもかからない。

・比較的簡便に封緘ができる。

封緘することで他商品の混入や外部からの異物混入(虫等)

・軽い。

 (荷造り・運搬作業の容易性、輸送燃料の軽減)

 

このように、数々の性能を有する段ボール箱は輸送容器として優秀です。

 

仕分け

 

仕分けとは、商品を種類や仕向け先ごとに分ける作業を言います。

 

物流倉庫では商品が入荷されると種類ごとに仕分けされます。

この際、多くの場合で段ボール箱や段ボール製のロケーションボックスが使われます。

日用品や食品などは多くの場合、入荷時の段ボール包装のまま商品毎に(パレット単位で)仕分けされ、保管されます。

 

商品を梱包する段ボール箱の多くに印刷が入っています。

商品名・品番・バーコードなどが箱に表示されていれば仕分けがし易く、異種混入を防ぐ効果があります。

出荷時も箱の表示をみてピッキングしますので、誤出荷防止に役立ちます。

 

保管

 

商品の多くは出荷まで倉庫で保管されます。

入荷時の梱包状態のまま保管されることが多く、その場合は段ボール箱で保管されます。

 

段ボール箱は紙でできています。

水濡れ、湿気などには弱く長期保管はあまりおすすめしません。

段ボール箱には縦方向に強度があり、腐食も少ないため、短期の保管容器としては適しています。

個別に包装設計(強度計算)をすることにより、適切な材質で作成が可能で、段積みする際の潰れを防ぐことができます。

 

また、前述したように封緘することによってホコリや虫などの異物から商品を保護します。

 

段ボール箱のその他の機能

段ボール箱のそのほかの機能

 

段ボール箱には物流以外の機能もあります。

 

販売促進機能

 

スーパーマーケット等では段ボールに梱包されたまま、或いは箱の一部を切り取り、商品を陳列しています。

このような場合、段ボール箱に印刷をつけることにより、店頭での販売促進効果が期待できます。

 

近年ではシェルフレディパッケージ(Shelf Ready Packaging)も増えてきました。

これはカッターなどを使わずに、ミシン目等から簡単に開封でき、開封後は即時、店頭陳列が可能な、輸送箱と陳列箱を兼ね備えたパッケージのことです。

 

また、箱ではありませんが段ボール製のPOP(販促什器)も多くみられます。

 

情報告知機能

 

物流機能の中でも触れましたが、段ボール箱は印刷情報から開梱しなくても中の商品の商品名や入り数が分かります。

物流情報や商品情報をバーコードとして印刷することも可能です。

荷扱の注意(ケアマークなど)が印刷する場合もあります。

 

家電や家具等の箱には、開梱方法や組み立て方などの説明書きを印刷することもあります。

このように、段ボール箱には情報発信の機能もあります。

販促機能は情報告知機能のひとつであるとも言えます。

 

商品保護機能

 

物流機能の項でも触れましたが、段ボールという素材は紙という柔らかい素材でできています。

またその構造上の段々がクッション機能を果すため輸送時に極めて高い緩衝性能を発揮します。

他にも段の構造から縦方向に強い耐圧性能も持ち、保管時箱を積み重ねても中の商品を守ります。

 

断熱機能(保温・保冷)

 

段ボールの中には空気が含まれているので短時間であれば保冷効果があります。

逆に段ボールの断熱機能により、短時間であれば冷凍車輸送の等でチルド食品の凍結を防ぐことができます。

 

環境に関する機能

 

日本では段ボールのリサイクルシステムが完成しています。

そのため段ボール箱は処分が容易であり、廃棄された段ボールはまた段ボールとして再生されます。
環境への負荷が少ない容器として段ボール箱は充分な機能を果たしています。
⇒段ボールのリサイクルはこちら

 

その他

 

機能という言い方はできないかもしれませんが、

 

・段ボールには短期に大量に調達できる。
・梱包作業を機械化できる。
・畳んで保管できる。(省スペース)
・価格が安い。
・軽い。
・液体や気体以外、何でも入れることができる。

 

という優れた特徴を持つことから様々な用途に使用され、機能していると言えます。

 

機能性段ボールとは

機能性段ボールとは

 

機能性段ボールとはある機能に特化した性能を有する段ボールです。

主に素材(段ボール原紙)に加工を施したのち、段ボール製品として仕上げます。

特殊な段ボール原紙を抄造する、もしくは段ボール原紙に加工(薬品塗布、ラミネート、印刷加工)するものとしては、

 

・撥水・耐水段ボール
・鮮度保持(防湿、防虫、保冷、ガスバリア)機能段ボール
・導電性段ボール
・防錆段ボール
・強化段ボール(厚物原紙・中芯)
・プレプリント原紙を用いた美粧段ボール

 

などがあります。

ここで気をつけなければいけないのは、常に市場に流通しているものでなく、特殊ライナーを取り扱っている段ボールメーカー・工場も限られている。

また原紙に加工するという場合、巻取単位での加工になり、かなりの大口の需要家でないと入手は困難であるということです。

 

プレプリント(原紙にグラビア印刷を施してから貼り合わせる美粧段ボール)は、通常の段ボール印刷より印刷精度に優れます

デメリットとしては、グラビアロールが高価であること。

巻取単位の印刷になるため、数量の調整が難しいことなどがあります。

数十万ケースが流れることが想定される定番ビールのカートン以外はなかなか採用されていません。

 

耐水段ボールは、青果物などに広く使われています。

これも段メーカーは需要家ごとに必要数の原紙を発注しています。

小口でのオーダーは難しいと思われます。

 

撥水は原紙での加工とコルゲーター加工(撥水剤をスプレー塗布する)があります。

コルゲーター加工の場合は貼り合わせ時の単独最低ロット数が必要となります。

 

強化段ボールは厚物原紙が使われます。

厚物原紙は共通で使われるため特注ではありませんが用途が限られるため数は少ないです。

また、AA段やトリプルフルートの貼り合わせができる工場は限られるため流通は限定されます。

 

機能性段ボールと紹介されているものは一般に流通しているとは限らず、確認が必要です。

 

まとめ

段ボール箱にはこのような多くの機能があります。

段ボール箱が幅広く利用されているのもこのような機能・性能に裏打ちされているためです。

 

段ボールにも他の容器に比べ、水や湿気に弱い、強度的に弱い、繰り返し使用することに向かない、と言った弱点もあります。

用途や目的、コストなどを総合的に考え、他の容器・包装資材、または組み合わせて使うことなど、検討することも重要です。

 

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