2022.11.21
段ボール 豆知識段ボール印刷・フレキソ印刷とは? フレキソインキと環境
フレキソ印刷とは、段ボール印刷等に使われる印刷方式です。
フレキソ印刷で使用されるインキをフレキソインキと呼びます。
段ボールを印刷するには、インキと印版、印刷機が必要です。
段ボールに印刷することで、商品識別の利便性・販促効果などを得ることができます。
この項では、段ボールの印刷方式・フレキソ印刷とフレキソインキの特性について説明します。
また、段ボール印刷の環境への取り組みについても触れます。
もくじ
フレキソ印刷とは
フレキソ印刷は凸版印刷の方式のひとつです。
段ボールの他、フィルム、布等に用いられます。近年では食品・医療品包装分野での採用が増えています。
フレキソ印刷は輪転印刷という方式です。
シリンダー(版胴)にセットした印版にアニロックスロールよりインキが転写され、印版から被印刷体(段ボールなど)に印刷されるという印刷方式です。
アニロックスロールは、クロムやセラミックスでコートされた金属のシリンダーの表面に、セルと呼ばれる小さな穴が規則正しく並んだものです。
グラビア印刷、オフセット印刷とは
グラビア印刷、オフセット印刷とも凹版印刷です。
凸版印刷とは逆に、版に凹みを作ってそこにインクを流し込み、紙やフィルムに印刷をする方式です。
グラビア印刷、オフセット印刷ともに油性インキを使用します。
グラビア印刷の版は金属(鉄やアルミ)のロールを加工するのに対し、オフセット印刷は、薄い板状のアルミプレートを加工してロールに巻きつけて使用します。
グラビア印刷の版はクロム加工するため耐久性に優れますが、オフセット印刷の版より高額です。
また、シリンダーを加工するため、オフセットの版より製作に日数がかかります。
グラビア印刷とオフセット印刷を比較した場合、
グラビア印刷は色の濃淡を表現することに優れ美術書・写真集・食品包装フィルムなどに適しています。
オフセット印刷はスピードが速くチラシなど大量に印刷するものに適しています。
現在の主流はオフセット印刷です。
フレキソ印刷のメリット・デメリット
フレキソ印刷の印版は感光性樹脂やゴムなど柔軟で弾力がある素材です。
そのため、厚紙、段ボールなど厚みのある紙や、プラスチックフィルム、布などにも印刷できます。
グラビア印刷・オフセット印刷は、薄い紙やプラスチックフィルムといった平滑性の良い素材への印刷に適しています。
また、凹版印刷によりインキの厚盛ができるため、写真印刷や美粧印刷のような高品質な印刷に対応します。
フレキソ印刷は印刷素材や印刷機にもよりますが、平滑性の悪い素材に印刷するため細かい表現に対応できない場合があります。
段ボールの印刷機の場合、印刷ユニットが2~4個ある場合が多いですが、それぞれの印刷ユニットにセットしたインキ(色)がそのまま段ボールに転写されます。
3色つかう場合でも、例えば赤・青・黒といった色分けされたデザインを印刷します。
3原色のかけ合わせをする場合見当合わせが難しく、写真印刷をすることは稀です。
(フィルムやラベルの印刷機はこの限りではありません。)
フレキソインキの特性
フレキソインキは一般的に粘度の非常に低い液状インキです。
水性又はアルコール性が主流です。
近年はUVフレキソインキ(紫外線を当てて定着させるタイプ)も使われるようになりました。
段ボールに使用されるフレキソインキは水性です。
段ボール(紙)に転写された瞬間に水分が吸収され定着します。
段ボール印刷も油性インキを使用していた時代はインキが乾燥(溶剤が揮発)するまで時間がかかりました。
乾燥前に擦ったりした場合、印刷面が汚れます。
現在は水性・速乾のフレキソインキが主流になり、印刷後すぐに搬送しても問題ありません。
フレキソ印刷のもう一つのメリットとして高い生産性を挙げる事ができます。
フレキソ印刷では、印刷後の加工において、工程を一度も中断せずにより効率的に最終段階まで作業を完了できます。
この事は、近年の傾向である多品種・小ロット印刷にもっとも適した印刷の方式だといえます。
フレキソインキと環境
フレキソインキはその特性からVOC(揮発性有機化合物)排出量がグラビア等油性インキに比べ低く押さえられます。
環境に優しいインキであると言えます。
日本でも直接人にふれる可能性や環境面への配慮から、食品・医療品分野のラベルやフィルム等をフレキソ印刷に変更することが多くなってきました。
近年は環境対応のインキが脚光を浴びています。
UVインキとはUV(紫外線)照射装置を備えた印刷機で使用するインキで、紫外線を当てることによって非常に短時間(0.2秒程度)で乾燥する特性があります。
このUVインキは乾燥のために溶剤の蒸発が必要ないのでほぼVOCを必要としないうえ、環境ホルモンも重金属も含まれませんので、非常に環境に優しいインキということができます。
他にも、従来の石油由来のインクでなくバイオマスインキという、植物由来の資源を原料の一部に使用して製造したインキが開発されています。
もともと水性フレキソインキには石油由来の成分が少ないため段ボール印刷用のバイオマスインキは商品化されていないようですが、様々な種類のバイオマスインキが販売されています。
バイオマスインキは、製品の乾燥重量中に占めるバイオマス原料の割合をバイオマス度として表します。
インキ業界も環境に配慮した製品開発に力をいれていることがうかがえます。
段ボール印刷と環境
段ボール印刷ではそれぞれの印刷ユニットにセットしたインキ(色)がそのまま段ボールに転写されると説明しました。
デザイン的に特定の色を使いたい場合には特注したインキが必要となります。
例えば、お客様ごとのコーポレートカラーが指定される、商品によってイメージカラーを指定されるなど要望で特注インキを増やし続けると、同じ赤色で似た色目のインキを何十種類も用意しなければなりません。
段ボールのフレキソインキは水性インキのため長期間保管していると劣化し廃棄しなければならず、コストアップ要因にもなります。
段ボール業界では、標準色を設定しインキの統合を図ってきました。
結果、インキの廃棄量の削減につながっています。
(全国段ボール工業組合にて、標準色18色、補整色32色が設定されていて、各インキメーカー共通となっています。)
また、インキメーカーは、インキのプラ容器を回収しリユースするなど、環境に配慮した活動をしています。
段ボール印刷機の内部でフレキソインキは循環しています。
印刷時に使われなかったインキは容器に回収され再使用されます。
しかし、内部に付着したインキは色替えする際に次のインキと混じり濁ってしまうため、水で洗浄され廃棄されます。
イクソブ株式会社では1日の生産順序をインキ色順に設定しています。
同色の印刷を続けて行い、洗浄の回数を減らします。薄い色から濃い色に順番を組むことにより洗浄時間を短縮します。
生産効率の向上と同時にインキ廃棄量削減を実践しています。
近年普及してきた段ボールのオンデマンド印刷は、機構的にはパソコンのインクジェットプリンターと一緒です。
印刷ヘッドから段ボールに直接インキを吹き付けて印刷します。
原稿データーを読み込み印刷しますので、フレキソ印刷機のような印版は不要です。
印版作成にかかわるコストと時間と材料(樹脂)が削減できます。
オンデマンド印刷は、フルカラー印刷も可能です。インキの使用量、インキロスはフレキソ印刷に比べ圧倒的に少なく、環境に優しい印刷と言えます。
しかし、現状ではフレキソインキに比べ、インキコストは相当高く、また印刷速度も遅いため大量生産には向いていないというデメリットもあります。
まとめ
段ボールのフレキソインキを中心に、印刷方式とそれに使われるインキについて説明してきました。
どの印刷方式も一長一短があります。
段ボールのフレキソ印刷は環境に優しい印刷ですが万能でなく、不得手な分野もあります。
印刷素材や用途によって適した印刷方式を選択することが重要となります。
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