段ボールの材質とは?段ボールの材質を知ることのメリット

段ボールの材質とは?段ボールの材質を知ることのメリット

段ボールの材質とは、段ボール素材の性質・性能のことです。

段ボールには、丈夫なもの、弱いものといった様々な種類があり、
それらを段ボールの材質といい段ボールのグレードを意味します。
段ボールはライナー中芯を貼り合わせた構造体です。波状の中芯が段を形成します。
そのため段ボールの材質は、素材となる紙(段ボール原紙)だけでなく、
原紙と段種(フルート)の組み合わせで決まります。
原紙も表ライナー、中芯・裏ライナーで異なるものをつかう場合もあり、
段種も複数あるため、段ボールの材質は多数存在します。

 

段ボールの材質とは

 

 

段ボールの材質では主に強度が重視されます。
簡単に言うと、段ボール原紙が厚いほど強度が増します。段種(フルート)も厚いほど耐圧強度が出ます。
ただし、フルートは薄い方が箱の寸法精度は出ます。

段ボール箱は段ボールを素材として作られる箱です。
段ボール箱に求められる性能は、内容品や用途により変わります。
必要な強度を満たさない素材で作られた箱は、つぶれ等で内容品の毀損する可能性が有ります。
強度を上げる場合は強い(厚い)素材を使用する必要があるためコストUPします。
このように、段ボールの材質を適切に選定することで、商品を安全に保管・輸送することが出来、同時に物流コスト全体の削減にもつながります。
段ボールの材質を知ることは重要です。

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段ボールの材質とは

“C170gBF”や“K6 160A”といった表記を見たことがありますか?これは段ボールの材質を表したものです。知らない人には何のことだか分かりませんよね。概要でお話しましたが、段ボールの材質は紙の種類と段種の組み合わせで表記されます。“K6 160 A”を例にとると表裏のライナーは”K6“、中芯は”160g“の紙を使用した段種Aフルート(=5m/m段)の材質という表記です。表記をみれば強い素材か弱い素材か分かります。
それほど難しい話ではないのですが、初めて聞く人にはわかりにくいかもしれません。
できるだけわかり易く、段種と紙質について説明します。

 

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段ボールの構造とは

先程の例で、“A”フルートと表記される段種について説明する前に、段ボールの構造にはどのようなものがあるのかをお話します。

段ボールの構造

・両面段ボール
段ボールシートは平らな紙(ライナー)と波状の紙(中芯)が接着剤で貼合され、1つの構造体となっているものであると前回お話しました。上・下ライナーと1枚の中芯、計3枚の紙によって構成されるものを両面段ボールと言います。両面段ボールはシングルフルートとも呼ばれ、一般に良く見られる形態です。
・複両面段ボール
上下ライナーと中芯3枚(段は2層)で構成されるものが複両面段ボールです。通常はダブル(W)フルートと言います。輸出(船便)向けや重量物に使用されます。段が3層の複々両面(トリプルフルート)もあります。
・片面段ボール
片側のライナーに中芯1枚を貼り付けたものを片面段ボール(片段)といいます。素材的にそのまま箱にするのは難しく、緩衝材や封筒などに使用されます。また印刷した板紙と合紙することで箱に加工することも出来ます。

 

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段種・フルートとは

段ボールにはシングルフルートダブルフルートがあると書きましたが、段ボール中芯の波形のことをフルートと言います。シングルフルートでも段の高さによっても種類があります。

段ボールの種類

・Aフルート
厚みが約5mm、30cm内に段が34±2個あります。日本で一般的に使用されているものです。
・Bフルート
厚みが約3mm、30cm内に段が50±2個になります。AFより薄いので箱精度が出しやすく、内装箱やラップラウンド形状、緩衝材に使われます。
・Cフルート
厚みが約4mm、30cm内に段が40±2個あります。欧米を中心に使用され、近年日本でも省スペース、省資源の観点から増えてきています。Aフルートの強度とBフルートの精度の中間の特性を持ち、AFから転換する製品も増えています。
・Eフルート
厚みが約1.5mm、30cm内に段が95±2個あります。薄さからは厚紙に見えますが段があります。外装箱よりも紙器として使われることが多いです。
・マイクロフルート
Eフルート以下の厚みのマイクロフルートと呼ばれる素材も近年増えました。生産する会社によって段の高さ、呼称も色々あります。
また、Aフルートを表記する場合、段ボール製造会社によって、“A段”、“AF”、“A/F”、“A”と表記ことがあります。他のフルートも同様に表記します。

ダブル(W)フルートとは

複両面段ボール(Wフルート)は通常はAF+BF(2層)のABフルートです。
ABフルートは5mm+3mmで約8mmの厚みとなります。段ボールのフルート
段ボールを貼り合わせる大型機械をコルゲーターといいます。この機械で段ロール(段を成形する鉄の軸)をセットするパートをシングルフェイサーといいますが、一般的には2基のシングルフェイサーにそれぞれBフルートとAフルートの段ロールを固定している場合が多いため、国内のWフルートのほとんどはABフルートです。
但し、重量物向けのトリプルフルートを貼り合わせる設備ではAAフルート等を生産しています。また、Cフルートの設備を導入した会社ではCBフルートを貼り合わせることもあります。
Wフルートは、紙が5層で強度がある反面、材料もほぼ倍になりコストがかかります。また、厚みがあるため保管スペースも要ります。最近は強化中芯使用のシングルフルート等に移行しWフルートの生産比率は年々落ちています。このような状況でさらにセット替えにも時間がかかることから、ダブルフルートを自社で生産せず購入するシートメーカーもあります。
Aフルートを表記する場合と同様に、ABフルートを“AB段”、“ABF”、“AB/F”、や“WF”、“W/F”と表記ことがあります。ABフルート以外は単に“WF”という表記はせず、AAフルートやCBフルートと表記します。

強化段ボールとは

複両面や複々両面段ボール(トリプルフルート・3層)を使用した強化段ボールもあります。
これは特殊でコストも高く、ほぼ輸出関係の重量物に限定されます。木箱梱包からの転換や、木箱梱包の一部代替えという形が多く、段ボール製パレットの材料にも使われます。生産設備を持っている会社も限られます。
私どもイクソブ株式会社では、強化段ボールを使用した作業台を販売し、物流・倉庫会社様から好評をいただいています。作業台の天板の下は段ボールのスリーブ(筒)で製作しています。スチールの作業台より①軽く②不要な時は折りたため③寸法も特注でき④処分も容易という商品です。
ご興味があればぜひお問い合わせください

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段ボール作業台

段ボールの素材(段ボール原紙)とは

段ボールの紙質(段ボール原紙)について説明します。
どのグレードの段ボール原紙を使用するかで段ボール箱の強度が決まってきます。
段ボールシートは平らな紙(ライナー)と波状の紙(中芯)が接着剤で貼合され、1つの構造体となっているものです。両面段ボールの場合は、通常上・下ライナーと1枚の中芯、計3枚の紙によって構成されます。このように段ボールシートの素材は紙です。紙のなかでも厚いもの(板紙)がつかわれます。
段ボール原紙は大きく、ライナーと中芯に区分されます。

ライナーとは

ライナーは段ボール箱の外側(内側)にもなります。見た目が良い素材でということになります。ライナーの表側はつるつるしています。(平滑性)これは、印刷する場合適正が良くなるということでもあります。
ライナーは木材色(茶色)が一般的ですが、表層部を白にしたライナーもあります。白ライナーの方が価格は高くなります。

段ボールライナー色
板紙のグレードは、1㎡辺りの紙の重さで表記されます。これを坪量(g/㎡)言います。同じ面積辺り重いということは紙が厚い(=強い)ということになります。坪量(g/㎡)が大きいほど価格も上がります。
ライナーでいうとK6(210g/㎡)K5(180g/㎡)C5(170g/㎡)といったグレードが一般的に用いられます。
ここでいうKとかCとかいう表記は、Kライナー(=クラフトライナー)Cライナー(=ジュートライナー)の略称です。今から30年ほど前、クラフトライナーはパルプの含有量が多い板紙、ジュートライナーはほぼ古紙(再生材料)で作られた板紙という区分けでした。パルプが多い方が紙を形作る繊維が長く、絡みあっています。同じ重量であればKライナーが丈夫な紙ということです。日本の場合現在ではKライナーもほぼ古紙でつくられていますので、KとCの差はその性能の差いうことになります。Kライナー、Cライナーのそれぞれの坪量による性能はJIS規格で定められています。
余談ですがCライナーは昔ジュート(麻)のような色であったためジュートライナーと呼ばれていました。ジュート(jute)の頭文字はJです。何故Cかというと、規格としてのABCのランク付けです。(クラフトライナーがAライナー相当ですが、なぜかKライナーの呼称が一般的になっています。ジュートライナーはCライナーです。昔はB、Dライナーもありました。)
またK6、K5の“6”とか“5”とかの数字は何を意味しているかというと昔の尺貫法の名残です。1両(=約40g)の表記だったようです。K6であればKライナーの40g×6両=240gということです。(この項を書くので調べ直したのですが、筆者は匁(もんめ)で覚えていましたが間違いでした。匁だと桁が違いますね。)ここで疑問です。40g×5=200g、40g×6=240gであるはずなのになぜK5(180g/㎡)、K6(210g/㎡)なのでしょうか。昔はその通りの重量であったと聞いています。長年の間に色々な規格が乱立して重量が少しずつ少なくなってしまったのが原因のようです。(今であれば、環境のため薄くしましたと言い訳ができますね。)現在は坪量ごとにJIS規格で性能が規定されているので、安易に従来の規格を変えることはできません。K5とK180g、どちらの表記を用いるかは段ボール加工会社によっても違いますが、K5表記を使う方が多いように感じます。
ここで挙げた素材の他にも色々な種類のライナーがあります。

 

特殊ライナーとは

ライナーの表面に薬剤を塗布したり、他の素材を貼ったりする加工をすることで機能を持たせたものです。例を挙げると、撥水ライナー耐水ライナー防錆ライナー導電性ライナーなどがあります。いずれも、用途が特殊なため造にはかなりのロットが必要となる場合があり、価格も上がります。保冷性能に優れたアルミを蒸着させた製品もありますがリサイクルが出来なくなるというデメリットもあります。
既存規格のライナーを加工するものが多いです。

中芯とは

中芯は、波状に成形しなければならないので比較的薄い素材が使われます。中芯は表側には出ず、印刷もしないためざらざらした紙です。ライナーと同様に坪量で表記されます。中芯の場合はライナーと違い5とか6とかではなくg(グラム)で表記されます。坪量により価格が変わるのはライナーと同様です。
中芯には普通中芯強化中芯があります。強化中芯は、同じ坪量でも薬剤等を使用し強度を上げものです。普通中芯より強化中芯の価格は高いです。
普通中芯の坪量は120gが一般的で、160gもあります。普通中芯はSCP(セミケミカルパルプの略)またはSという表記をされることがありますが、近年は略されることも多いです。
強化中芯は180g200gというグレードがあります。近年、薄物強化中芯の120g、160gも複数メーカーによって開発され市場に出ています。特に強化120gは普通芯の160g相当の強度があります。そのため古紙素材を有効活用でき、配送時のCO2量も削減できるという環境面のメリットからCFとともに普及が進んでいます。
強化中芯は昔、MMという表記が多く用いられていましたが、MMはかってあった製紙メーカーの商品名であるため最近は強化〇〇gの表記が主流です。

段ボールの材質表記について

段ボールメーカーは材質表記の一部を略してしまうという、あまり良くない習慣があります。また、段ボールメーカーやその営業担当によって表記の仕方が若干違い、慣れないと分かりにくいのです。
①表・裏のライナーが同一なら表記しない。
②中芯が普通中芯(120g・115g)なら表記しない。
③g(グラム)は略されることが多い
③ライナーはK5、K6という表記とK180g、K210gという表記が両方使われる。
⑤段種の書き方 A、A段、AF、A/Fはすべて同じ意味
ブログの冒頭で次のような表記を例に出しました。“C170gBF”・“K6 160A”
C170gBFは正確にはC170g/S120/C170g BFと表記されるべきです。
表記の順番は表ライナー/中芯/裏ライナーとなります。しかし表・裏が同材質であり、中芯が普通中芯であることから略してC170gBFでも段ボール業界内では通じます。C5Bでも同じものを指します。
K6 160 Aの表記はK210g/S160/K210g AFという内容になります。
ライナーは表裏同じなので略しますが、中芯は160gなので略しません。
表裏のライナーが違う場合はK6K5 160gAという表記やK210/S160/K180 AFという表記になります。
段ボールのメーカーによって若干の表記に違いはありますが、このようなルールを知っていれば見積書に記載されている段ボールの材質について理解できると思います。

まとめ

これまで、段ボールの材質について述べてきました。繰り返しになりますが、段ボールの材質は素材(段ボール原紙)と段種の組み合わせです。
ライナー・中芯・段種の組み合わせにより段ボールの強度は変わってきます。
段種による違いを簡単に言うと、「厚い方が強い、薄い方が高精度。」です。ただ、Wフルートになるとコストが極端に変わります。
また、紙(ライナー・中芯)のグレードで強度も変わりますが、コスト大きく変わります
安いからといって低グレードのライナーを使用して商品が傷んでしまったでは本末転倒ですが、必要以上に高い材質を使うこともありません。
段ボールの強度については別項目で詳しく述べていきたいと思います。内容品や段ボールの使用方法輸送・保管方法などによって要求される強度は変わってきます。段ボール加工業者によっては、強度計算の知識も乏しい場合もあるようです。経験も材質を選定する場合の大きな要素ではありますが、基本は押さえておきたいところです。
要求される強度に対して材質(素材と段種)を正しく選定することは包装コストを検討する上で重要です。
イクソブ株式会社は、要求される強度とコストのバランスより、最適な材質を選定します。包装・物流トータルでコストダウン提案できるのが弊社の強みです
強度計算と材質の選定方法は今後解説していきます。

引き続き、段ボールや包装資材調達のための基礎知識をお伝えしていければと思っています。よろしくお願いいたします。